希望する処置に保険は使える?―応急処置と保険診療の考え方
目次
「取れた被せ物を、とりあえずつけてほしい」
「今日は治療できないので、一時しのぎだけしてほしい」
歯科医院では、このようなご希望をいただくことがあります。
一時的な応急処置であっても、医学的に必要かつ適切で、保険診療の条件を満たす場合には、保険を使って行うことができます。では、ご希望の処置を行う前に、どのような確認が必要なのでしょうか。
保険が使えるかは、希望だけでは決まりません
保険を使えるかどうかは、ご希望だけではなく、診察で分かったお口の状態や必要な処置、保険診療のルールに基づいて判断します。
保険診療には、対象となる治療や材料、費用の請求方法などについて定められた条件があります。医療機関は、医学的に適切な診療を行うことに加えて、こうした条件も確認する必要があります。[2]
「保険医療機関及び保険医療養担当規則」第12条では、必要な診療を的確な診断に基づき、患者さんの健康にとって妥当・適切に行うことが求められています。[1]
処置の必要性と、保険の条件を確認します
たとえば、外れた被せ物について、本来はむし歯の治療や作り直しが必要だと判断したとします。
その場合でも、
「そのままつけてほしい」
「しばらく来られないので、一時しのぎをしてほしい」
と希望されることがあります。
ご事情やご希望を伺い、安全性と期待できる効果を確認したうえで、対応できる方法を検討します。
後日、本格的な治療が必要になる場合でも、その日の状態に応じた応急処置が適切なことはあります。後でやり直す可能性があるという理由だけで、保険の対象外になるわけではありません。
一方で、お口の状態からそのままつけ直すことを勧められない場合には、その理由と代わりの方法をご説明します。処置そのものが適切かどうかと、保険診療の条件を満たすかどうかは、分けて確認します。
健康保険を使うということ
保険診療の費用は、患者さんが窓口で支払う自己負担だけで成り立っているわけではありません。費用の一部は、公的医療保険の給付で賄われています。
そのため医療機関には、必要な診療を適切に行い、保険診療のルールに沿って費用を請求する責任があります。[2]
ご希望の処置については、まず必要性や安全性を確認し、そのうえで保険が使える条件に当てはまるかを検討します。
その日にできる対応を、一緒に考えます
「簡単そうな処置なのに、なぜ希望どおりにできないのだろう」と感じられることもあるかもしれません。
ご希望どおりの処置をご案内できない場合には、お口の状態による理由を、できるだけ分かりやすくご説明します。
そのうえで、その日に可能な対応や、今後必要な治療についてご相談します。通院できる時期や気になることがあれば、お聞かせください。
私たちは、ご事情やご希望を伺いながら、必要性・安全性と保険診療の条件を確認し、対応できる方法を一緒に考えていきます。
