セラミック治療について
目次
できるだけ歯を残し、将来の再治療まで考えて
セラミック治療と聞くと、「白くきれいな歯にする治療」というイメージが強いかもしれません。
もちろん見た目の美しさも大切です。
当院ではそれだけでなく、10年、20年後にその歯をどう残していくかまで考えて、治療方法を選択しています。
特に大切にしているのは、
- できるだけ歯を削らないこと
- 汚れが付きにくく、劣化しにくい材料を選ぶこと
- 歯の状態や噛み合わせに合わせて材料を使い分けること
- 将来、再治療が必要になったときの選択肢をできるだけ残しておくこと
です。
1.できるだけ「部分的な修復」にとどめます
むし歯や古い詰め物を治療する際には、歯全体を覆う「クラウン」にする方法と、必要な部分だけを治す「インレー」「アンレー」「オーバーレイ」などの方法があります。
修復物そのものだけを見れば、歯全体を覆うクラウンは丈夫で、長期間安定しやすい治療方法です。
一方で、クラウンにするためには歯を全周にわたって大きく削る必要があります。
一度削った歯は元には戻りません。
10年、20年と使っているうちには、どのような修復物でも、むし歯、接着の劣化、破折などによって再治療が必要になる可能性があります。
そのとき、すでに大きく削られている歯では、次にできる治療の選択肢が少なくなっていることがあります。
そのため当院では、適応できる場合には、削る量をできるだけ少なくして、部分的な修復にとどめることを重視しています。
部分的な修復で済ませておくことで、将来問題が起きたときにも、
- 一部を補修する
- 同程度の大きさで再治療する
- 必要になった時点で、より大きな修復へ移行する
といった選択肢を残せる可能性があります。
今回入れる修復物だけではなく、その歯そのものをできるだけ長く使うこと。
そのために、最初から必要以上に大きな治療をしないようにしています。
2.セラミックは、汚れが付きにくく劣化しにくい材料です
歯を白く修復する方法には、コンポジットレジン(CR)、保険診療のCAD/CAM材料、セラミックなどがあります。
それぞれに適した使い方がありますが、セラミックには、
- 表面を滑らかに仕上げやすい
- プラーク(歯垢)が付きにくい
- 着色しにくい
- 材料そのものが経年的に変化しにくい
- 自然な色調や透明感を出しやすい
といった特徴があります。
実際に材料を触ってみても、研磨されたセラミックは硬く、表面が非常に滑らかです。
この滑らかさは、見た目や舌触りだけの問題ではありません。
プラークが付着しにくいため、修復物の周囲を清潔に保ちやすく、歯周病や口臭といった問題を起こしにくい環境づくりにも役立ちます。
もちろん、セラミックにすれば歯磨きが不要になるわけではありません。
歯との境目や歯と歯の間にはプラークが残ることがありますので、毎日のセルフケアと定期的な確認は必要です。
3.二ケイ酸リチウムとジルコニアを使い分けます
「一番硬い材料が、一番良い材料」とは限りません。
歯の残り方、修復する範囲、噛む力、見た目などによって、適した材料は変わります。
二ケイ酸リチウム
当院で第一に検討することが多いのが、二ケイ酸リチウムというガラスセラミックです。
十分な強度を持ちながら、自然な透明感があり、歯と接着させて使用しやすい材料です。
そのため、クラウンだけでなく、インレー、アンレー、オーバーレイなど、歯をできるだけ残した部分的な修復にも適しています。
適応できる場合には、当院ではまず二ケイ酸リチウムを検討します。
ジルコニア
ジルコニアは、非常に高い強度を持つセラミック材料です。
大きな力がかかる場所や、修復物の厚みを十分に確保しにくい場所などでは、その強度が大きな利点になります。
一方で当院では、単純に「硬いほど安心」とは考えていません。
噛む力が加わったときに、
- 修復物がどのように力を受けるか
- 残っている歯にどのような力が伝わるか
- 問題が起きたとき、どのような壊れ方をする可能性があるか
まで考えて材料を選びます。
そのため、二ケイ酸リチウムで対応できる場合にはそちらを優先し、より高い強度が必要と判断した場合にジルコニアを選択します。
ジルコニアが悪い材料ということではありません。
必要な場所に、必要な材料を使うことが大切だと考えています。
ジルコニアに陶材を組み合わせることもあります
症例によっては、ジルコニアを土台として、その表面に陶材を盛り付ける方法を選択することもあります。
強度が必要な部分はジルコニアで支えながら、噛み合う部分や見える部分の材料を調整することで、対合する歯との当たり方や見た目を細かく調整します。
材料を一種類に決めているわけではなく、その歯に必要な条件に合わせて選択しています。
4.保険診療のCAD/CAM材料も十分実用的です
現在では、保険診療でもCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーを使用できる範囲が広がっています。
材料の性能も向上しており、適応できるケースでは十分実用的だと感じています。
そのため当院では、保険診療だから治療として不十分だとは考えていません。
保険診療で治療できる場合には、まずその選択肢をご説明します。
そのうえで、より劣化しにくい材料を希望される場合や、より精密な仕上がり、自然な見た目を希望される場合に、自由診療のセラミック治療をご提案します。
5.同じCAD/CAMでも、仕上がりは同じではありません
現在では、二ケイ酸リチウムやジルコニアについても、CAD/CAMを利用して製作することが増えています。
そのため、
「CAD/CAMだから保険の材料」
「セラミックだからすべて手作業」
というわけではありません。
同じようにデジタル技術を使っていても、
- 使用する材料
- 歯の削り方
- スキャンや型取り
- 修復物の設計
- 歯科技工士による調整
- 研磨
- 色調調整
- 噛み合わせの調整
- 接着操作
などによって、完成する修復物は変わります。
自由診療のセラミック治療では、こうした工程に十分な手間と時間をかけることができます。
そのため、歯との境目をより細かく合わせたり、形態や噛み合わせを丁寧に調整したり、より自然な見た目を目指したりしやすくなります。
これは、材料の違いだけではありません。
一つの修復物を、どこまで丁寧に仕上げることができるか。
そこにも、保険診療と自由診療の違いがあります。
自由診療のセラミック治療を選ぶ意味
現在の保険診療でも、十分きちんと治療できるケースはたくさんあります。
そのうえで、
- できるだけ変色や劣化の少ない材料を使いたい
- プラークが付きにくい材料を選びたい
- より細かく形態や歯との境目を仕上げたい
- より自然な色調や透明感を求めたい
- 材料だけでなく、製作工程にも手間をかけたい
という希望があり、費用面でも選択可能であれば、セラミック治療には保険診療より優れた点があります。
費用をかける意味のある治療だと考えています。
ただし、セラミックを使えば何でも良くなるわけではありません。
大切なのは「高価な材料」ではなく「適切な設計」です
当院がセラミック治療で最も大切にしているのは、単に高価な材料を入れることではありません。
- できるだけ歯を削らないこと
- 残っている歯に合った材料を選ぶこと
- 噛み合わせまで考えて設計すること
- 将来やり直すことになったときも、次の治療につなげられる状態をできるだけ残しておくこと
です。
修復物そのものだけではなく、その歯を10年、20年先まで使い続けることを考えながら、治療方法をご相談します。
