歯科のX線撮影と防護エプロンについて
目次
当院では、防護エプロンを一律には使用していません
昔から、「X線検査のときにはエプロンを着けるもの」と考えられていると思いますが、最近では必ずしもそうではありません。
当院では、X線撮影時に患者さんへ防護エプロンを一律には使用していません。
放射線被ばくが心配という方も多いかもしれませんが、それぞれの撮影方法でX線が当たる範囲や方向、実際に想定される被ばく、現在の放射線防護の考え方を踏まえた対応です。
歯科で用いる主な撮影方法と、防護エプロンに対する当院の考え方についてご説明します。
また、歯科のX線検査と被ばくについて気になる方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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防護エプロンの役割とは?
防護エプロンには、身体の外側から届くX線を遮る働きがあります。
しかし、歯科のX線撮影で直接X線が当たるのは、主に歯や顎、顔の周囲です。胸部や腹部は、通常、直接の照射範囲には含まれません。
胸部や腹部に届くのは、主に身体に当たって進む方向が変わった、ごくわずかな散乱線です。
防護エプロンによって、身体の外側から届く散乱線の一部を遮ることはできます。しかし、患者さんが受ける線量全体に対する低減効果は非常に小さく、身体の内部で発生した散乱線を、身体の外側に置いたエプロンで遮ることもできません。
パノラマX線撮影と歯科用CBCTの場合
パノラマX線撮影と歯科用CBCTでは、装置が顔の周囲を回転しながら撮影します。
撮影方法やX線の照射範囲、放射線量は異なりますが、どちらも直接X線が照射されるのは、主として頭部や顎顔面領域です。胸部や腹部は、通常、直接の照射範囲には含まれません。
そのため、胸部や腹部を防護エプロンで覆っても、患者さんが受ける線量を大きく減らす効果は期待できません。
一方、防護エプロンを高い位置まで着けると、その一部が画像に写り込み、診断に必要な部分を隠すことがあります。また、肩の位置によっては、防護エプロンが装置に干渉し、身体が動いてしまうこともあります。
診断に必要な画像が得られず、再撮影となれば、結果として余分な被ばくにつながります。
そのため当院では、パノラマX線撮影と歯科用CBCTでは、原則として防護エプロンを使用していません。
デンタルX線写真とバイトウイングの場合
デンタルX線写真やバイトウイングでは、イメージングプレートをお口の中に入れ、限られた範囲を狙ってX線を照射します。
X線が直接当たる範囲は狭く、その大部分は口の中や顎、喉の周囲に限られます。胸部や腹部は、通常、直接の照射範囲には含まれません。
防護エプロンによって、身体の外側から届く散乱線の一部を遮ることはできますが、患者さんが受ける線量全体に対する低減効果は非常に小さいと考えられています。
日本歯科放射線学会の指針でも、口内法によるX線撮影で防護エプロンを必ず使用しなければならないとはされていません。患者さんの被ばく線量を減らすというより、不安に配慮する意味が大きいとされています。
そのため、デンタルX線写真やバイトウイングについても、当院では原則として防護エプロンを使用していません。
子どもや妊娠中の方について
現在の国際的な勧告では、子どもや妊娠中の方を含め、歯科X線撮影時に防護エプロンや甲状腺防護具を一律に使用する必要はないとされています。
歯科のX線撮影では、腹部や骨盤が直接の照射範囲に入ることは通常ありません。そのため、妊娠中であっても、防護エプロンによって胎児が受ける線量を大きく減らす効果は期待できません。
ただし、妊娠中または妊娠している可能性がある方は、撮影の必要性や時期を判断するため、撮影前にお知らせください。
防護エプロンを希望される方へ
当院では、原則として防護エプロンを使用せずに撮影します。そのため、特にお申し出がなければ、防護エプロンを着けずに撮影を行います。
防護エプロンを着けないことに不安がある方や、子どもの撮影で使用を希望される保護者の方は、撮影前に遠慮なくお申し出ください。
撮影の妨げにならないことを確認したうえで、防護エプロンを使用します。
防護エプロンを使用しないことにも理由があります
当院が防護エプロンを一律に使用していないのは、放射線防護を軽視しているためではありません。
歯科X線撮影で直接X線が当たる範囲、防護エプロンによって減らせる線量、画像への写り込みや装置への干渉などを踏まえた対応です。
防護エプロンの使用を希望される場合は、患者さんからお申し出いただく形になります。ご不安がありましたら、撮影前に遠慮なくスタッフへお声がけください。
