口腔乾燥の症状と診断
目次
「口が乾く」だけではありません
「口の中が乾く」「口の中がねばつく」「水を飲まないと話しにくい」。
このような症状は、口腔乾燥症でみられる代表的な症状です。
ただし、口腔乾燥症は、単純に「唾液の量が少ない状態」だけを指すものではありません。
実際には、
- 口が乾いていると感じる
- 口の中を診ると乾燥している
- 唾液の量が少なくなっている
- 唾液の性質が変わっている
など、いくつかの状態があります。
そのため、「口が乾く」という症状だけで原因を決めることはできません。
歯科医院では、お口の中の状態や服用している薬、全身の病気などを確認しながら、原因を考えていきます。
口腔乾燥では、こんな症状がみられます
口腔乾燥があると、
- 口の中が乾く、ねばつく
- 水をよく飲みたくなる
- 夜中に口の渇きで目が覚める
- 長く話していると口が乾く
- 乾いた食べ物が食べにくい
- 飲み込みにくい
- 味を感じにくい
- 舌や口の中がヒリヒリする
- 入れ歯が擦れて痛い
などの症状がみられることがあります。
一方で、あまり乾燥を感じていなくても、実際には唾液が少なくなっていることがあります。
反対に、強く乾燥を感じていても、唾液の量には大きな問題がないこともあります。
自分で感じる乾燥感と、実際の唾液の量は、必ずしも一致しません。
口が乾くと、歯が汚れやすくなることがあります
唾液には、口の中を潤すだけでなく、
- 食べかすや細菌を洗い流す
- 酸を中和する
- 歯の表面を守る
- むし歯になりにくい環境をつくる
といった働きがあります。
そのため、唾液が少なくなったり性質が変化したりすると、プラークが歯に残りやすくなります。
これまでと同じように歯磨きをしていても、以前よりきれいに保ちにくくなることがあります。
これは、単純に「歯磨きができていない」ということではありません。
口の中が乾燥すると、汚れが歯や歯ぐきのまわりに残りやすくなり、
- プラークコントロールが難しくなる
- むし歯が増える
- 歯の根元にむし歯ができる
- 歯周病の管理が難しくなる
- 口臭が気になる
といった問題につながることがあります。
以前より歯が汚れやすくなった、むし歯が増えた、歯磨きがうまくいかなくなった、という変化も、口腔乾燥を考えるきっかけになります。
なぜ口が乾くのでしょうか?
口腔乾燥には、さまざまな原因があります。
薬の影響
薬の中には、唾液を出にくくするものがあります。
特に複数の薬を服用している場合には、それぞれの影響が重なって口が乾きやすくなることがあります。
ただし、口が乾くからといって、自己判断で薬を中止してはいけません。
必要な場合には、処方している医師と相談しながら対応を考えます。
加齢や全身状態の変化
年齢だけで必ず唾液が少なくなるわけではありません。
一方で、年齢とともに薬が増えたり、水分摂取量や食事、口の動きなどが変化したりすることで、口腔乾燥が起こりやすくなることがあります。
口呼吸
鼻づまりなどで口呼吸が続くと、唾液の量に大きな問題がなくても、口の中が乾燥することがあります。
唾液腺の病気
唾液をつくる唾液腺に炎症や異常がある場合にも、口腔乾燥が起こります。
食事のたびにあごの下や耳の前が腫れる、片側だけ痛む、といった症状がある場合には、別の病気が隠れていることもあります。
シェーグレン病による口腔乾燥
口腔乾燥を考えるうえで、注意が必要な全身疾患の一つに**シェーグレン病(シェーグレン症候群)**があります。
シェーグレン病では、唾液腺や涙腺に影響が起こり、
- 強い口の乾燥
- 眼の乾燥
- 唾液腺の腫れ
などがみられることがあります。
すべての口腔乾燥がシェーグレン病によるものではありません。
しかし、
- 口の乾燥が強い
- 眼も乾く
- 唾液腺が繰り返し腫れる
- 唾液が明らかに少ない
- 自己免疫疾患を指摘されている
といった場合には、シェーグレン病を含めた全身疾患を考える必要があります。
シェーグレン病は、歯科医院で口の中を見るだけでは診断できません。
必要な場合には、血液検査や眼科での検査、唾液腺の検査などを行うため、専門の医療機関へご紹介します。
歯科医院では何を確認するの?
口腔乾燥が疑われる場合には、まず、
- いつ頃から乾燥しているか
- 一日中乾くのか、夜だけなのか
- 食事や会話に困ることがあるか
- 眼の乾燥はないか
- 唾液腺の腫れや痛みはないか
- どのような薬を飲んでいるか
- 全身の病気がないか
などを確認します。
そのうえで口の中を診察し、
- 唾液が十分に出ているか
- 舌や粘膜が乾いていないか
- 唾液がねばついていないか
- むし歯が増えていないか
- プラークが残りやすくなっていないか
- 歯ぐきに炎症がないか
などを確認します。
必要に応じて、唾液の量を測ることもあります。
「口が乾く」原因を一つに決めつけないことが大切です
口腔乾燥は、
「年齢のせい」
「水分不足」
「薬のせい」
と簡単に決められるものではありません。
実際には、薬、全身疾患、唾液腺の状態、口呼吸、生活習慣など、いくつかの原因が重なっていることもあります。
また、口腔乾燥は、乾燥感だけの問題ではありません。
プラークコントロールが難しくなり、むし歯や歯周病のリスクが高くなることがあります。
歯科医院では、「口が乾いているか」だけではなく、
なぜ乾いているのか、その乾燥がお口の健康にどのような影響を与えているのか
まで確認していきます。
必要な場合には、シェーグレン病などの全身疾患も考え、専門の医療機関と連携して診断を進めます。
