詰め物・被せ物の修正ややり替え
目次
できるだけ歯を削らず、必要なところだけ治すことから考えます
詰め物や被せ物は、一度入れたらずっとそのまま使えるとは限りません。
- 詰め物や被せ物が欠けた
- 境目が気になる
- 古い銀歯を白くしたい
- 見た目を改善したい
- 中のむし歯が心配
- 噛んだときに違和感がある
こうした場合には、詰め物や被せ物の修正ややり替えを検討します。
ただし、古いものをすべて外して、新しいものに交換することがいつも最善とは限りません。
詰め物や被せ物を外すときには、その周囲の歯をさらに削らなければならないことがあります。
そのため当院では、まず現在の詰め物や被せ物をどこまで残せるかを確認し、できるだけ歯を削る量を少なくする方法を検討します。
全部やり替えず、修正だけで済むこともあります
詰め物や被せ物の一部に問題があっても、すべてを外す必要があるとは限りません。
問題が限られていれば、
- 表面を研磨する
- 形を少し修正する
- 境目を整える
- 欠けた部分だけを補修する
といった方法で対応できることがあります。
特に詰め物では、問題のない部分まで外して再治療するより、必要な部分だけ補修した方が、残っている健康な歯を多く保存できる場合があります。
一方、
- 詰め物や被せ物の中に大きなむし歯が疑われる
- 大きく欠けたり割れたりしている
- 適合に大きな問題がある
- 歯そのものに問題がある
- 部分的な修正では十分な状態にできない
と判断した場合には、全体のやり替えを検討します。
「新しくすること」よりも、「必要以上に歯を削らないこと」を優先して方法を選びます。
最近は金属を使わない治療も増えています
詰め物や被せ物に使用できる材料には、いくつかの種類があります。
保険診療では、適応に応じて、
- コンポジットレジン(CR)
- CAD/CAM材料
- PEEK
- 金属(パラジウム合金、チタンなど)
などを使用します。
自由診療では、
- 二ケイ酸リチウム
- ジルコニア
などがあります。
現在は、以前よりも金属を使用せずに治療できる範囲が広がっています。
ただし、白い材料ならどれでも同じというわけではありません。
残っている歯の量、詰め物や被せ物の大きさ、噛み合わせ、歯ぎしりなどの力、歯ぐきとの位置関係を確認したうえで、その歯に適した材料を考えます。
やり替えで大切なのは、被せ物の「縁」の位置です
古い被せ物を外し、以前とほぼ同じ位置で新しい被せ物を作ることができれば、比較的単純にやり替えられることがあります。
問題になるのは、むし歯や以前の削った範囲が、歯ぐきの深いところまで及んでいる場合です。
被せ物の縁が深くなりすぎると、
- むし歯を十分に確認して取り除く
- 歯の形を正確に整える
- 出血や唾液を避けて接着する
- 正確に型取りやスキャンをする
- 清掃しやすい被せ物を作る
といった処置が難しくなることがあります。
さらに重要なのが、歯を取り囲む歯ぐきや骨との位置関係です。
被せ物の縁を無理に深い位置に設定すると、歯周組織に炎症が続きやすくなる場合があります。
そのため、単純に「もっと深く削って被せればよい」とは考えません。
必要に応じて、先に歯ぐきや歯の位置を整えることがあります
新しい被せ物をきちんと作れるだけの健康な歯が、歯ぐきの上に十分残っていない場合には、被せ直す前に別の処置が必要になることがあります。
一つは、歯ぐきやその周囲の組織を整えて、健康な歯の部分を出す方法です。
歯周外科による「歯冠長延長術」などがこれにあたります。
もう一つは、歯を矯正によって少しずつ移動させ、歯ぐきの中にある健康な部分を上に出す方法です。
これを矯正的挺出といいます。
どちらが適しているかは、残っている歯根の長さ、歯を支える骨、周囲の歯、見た目への影響などによって異なります。
一見すると、被せ物を一つやり替えるために大がかりに感じるかもしれません。
しかし、無理な位置に被せ物を作るのではなく、新しい被せ物を長く安定して使える環境を先に整えるという考え方です。
外してみて初めて分かることもあります
詰め物や被せ物のやり替えでは、治療前の診察やX線検査だけでは、中の状態を完全には確認できないことがあります。
症状がなくても、実際に古いものを外してみると、
- 内部でむし歯が進んでいた
- 歯が想像以上に薄くなっていた
- 歯に亀裂や破折があった
- 歯の根に問題があった
- 新しい被せ物を支えられるだけの歯が残っていなかった
と分かることがあります。
二次う蝕は、古い修復物の再治療が必要になる代表的な原因の一つです。
そのため、
「銀歯を白くするだけのつもりだった」
「古くなったので交換するだけのつもりだった」
という場合でも、古いものを外した後で治療計画を変更しなければならないことがあります。
状態によっては、むし歯治療や根管治療、歯周治療などが追加で必要になります。
そして、歯根まで大きく破折しているなど、歯を残すことが難しい状態が分かった場合には、残念ながら抜歯を検討することもあります。
症状がない歯をやり替えるときほど、理由を確認します
見た目の改善などを目的として、症状のない詰め物や被せ物をやり替えることもあります。
もちろん、ご希望があれば治療を検討します。
ただ、現在問題なく使えている修復物を外すことにも、一定の負担があります。
そのため当院では、
- 見た目を変えたい
- 金属を白くしたい
- 境目が気になる
- むし歯が心配
- 古いので交換したい
- 噛み合わせや違和感が気になる
など、まず「何が気になってやり替えたいのか」を確認します。
そのうえで、
そのまま使う
→ 修正する
→ 一部分だけ補修する
→ 全体をやり替える
という順番で考えます。
やり替えが適切と判断した場合にも、治療前に分かる範囲で、内部のむし歯や破折、追加治療の可能性などをご説明したうえで進めます。
できるだけ、次のやり替えまで考えて治療します
詰め物や被せ物は、長く使ううちに再び修正ややり替えが必要になることがあります。
そして、治療のたびに歯を大きく削っていけば、残っている歯は少しずつ減っていきます。
だからこそ当院では、一回の治療だけを見るのではなく、その歯をできるだけ長く残すことを考えて、削る量や治療方法を決めることを大切にしています。
詰め物や被せ物が気になる場合にも、すぐに全部を外すとは限りません。
現在の状態と、何が気になっているのかを確認しながら、修正で済むのか、やり替えた方がよいのかを一緒に考えていきます。
